あすみが丘地域

あすみが丘地域の問題

あすみが丘地域には10余りの町内会或は自治会があり、夫々色々な難しい問題を抱えています。 このセクションではそれらの諸問題を浮き彫りにして解決の一助になればと期待しています。

自治会館を建て替えたい

この望みを昨年見事に実現した自治会があります。それは宮内覚会長が率いる土気南中央町内会です。この自治会はあすみが丘3丁目から4丁目にまたがる大きな自治会です。

筆者は宮内会長にお願いして新築の町内会館を案内して頂き、色々参考になるお話を伺いました。


町内会館入口に立つ宮内会長

   


会館前に10台分の駐車場がある

   


広々とした会議場

   


事務室まである

   


テーブルや椅子を収める倉庫まである

   


広々としたトイレ


  

宮内会長に色々伺いました:

   

この自治会の会員数は1020世帯で、敷地は千葉市の土地に自治会の積立金に加えて市の補助を受けてこの建物を建てたそうです。

この新しい自治会の資産を守るために自治会を法人化して自治会名で登記する事も検討しましたが、千葉市と相談した結果、 自治会にとって大層負担が重い法人化はしないことにしたということです。
この宮内会長のコメントに就いては以下のページで筆者が調べた詳細な法的根拠の解説を致します。

自治会の法人化とは

地方自治法260条の2

地域社会において重要な役割を担っている自治 会、町内会等の地縁による団体は、いわゆる「権利能力なき社団」に該当するものと位置づけられてきました。 こうした権利能力なき団体については、その資産は構成員に総有的に帰属するが、不動産登記については、代表者名義等 により不動産登記簿に登記するより他に方法がないとされていた。 このため、平成3年の地方自治法改正により、地縁による団体が権利能力を取得(法人格を取得)する制度が創設された。 この改正では、地縁による団体が、地域的な共同活動のための重要な不動産又は不動産に関する権利等を保有する場合は、市町村長 の認可を受けることによって、その規約に定める範囲内において、権利を有し、 義務を負うこととされた(地方自治法第260条の2)。

この法律の趣旨と目的

千葉市緑区役所の担当者及び筆者が相談した千葉弁護士会館の弁護士にによると、この法律は自治会等任意地縁団体が守るべき資産がある場合は、地方自治体に認可を受けて、 法人化して法人名でその資産の権利を守るように出来る仕組みであって、守るべき相当の資産がない場合は認可を受ける必要もないということです。 例えば、大椎台自治会のように伝統的に何億という資産を持ち、自治会館の土地と建物の両方を所有している場合は、認可地縁団体となって、その土地と建物を登記する価値があるが、 その自治会の自治会館の土地は千葉市のものであれば、その土地の上に建てられた建物は現実的に権利を侵される恐れもないので、権利を守るための登記などは必要がない。 その上、法人化によって、担当者の事務負担は増すばかりで、法人化のメリットは殆どないということです。
因みに、法人化の認可申請を市に提出したとしても、守るべき相当と資産がない場合や、民主的な方法によって住民の大多数の賛成を得なかった場合は、申請は許可にならないということです。

不動産資産の登記とは

   
不動産登記法
   

不動産登記法では新しい不動産を取得した場合は30日以内に登記しなくてはならないと規定しているが、筆者が千葉法務局を訪れて質問したところによれば、その条文には色々な付則が追加されて、 自治会のような不動産税を免除されているケースでは登記しなくても良いということになっているということです。

   
不動産を登記しないのは法律違反か?
   

ある自治会の幹部役員が自治会館の建物が登記されていない状態であるのは法律違反であると主張し、それを解消するために会則を全面改訂し法人化を目論んだ行動を起こしました。 筆者は上に述べましたように、千葉法務局で口頭で自治会館の建物の登記は必要がないことを確認していましたが、念のために霞が関の東京法務局に質問状を出したところ、次のような回答を得ました。

東京法務局の回答

東京法務局でございます。
お問い合わせいただいた自治会館の建物表題登記について回答させていただきます。
建物の表題登記の申請については,不動産登記法(以下「不登法」という。)第47条第1項において,建物を新築した場合や表題登記のない建物の所有権を取得した場合,その所有権を取得した日から一ヶ月以内に表題登記を申請しなければならないと規定され,建物の所有者に建物表題登記の申請義務を課しております。   ただし,これらの規定については,不登法の一部を改正する等の法律(昭和35年法律第14号)附則第5条第1項において,地方税法第348条の規定により固定資産税を課すことができない建物については,適用されないこととなっております(不登法附則第9条)。   したがいまして,自治会館が地方税法第348条に定める非課税建物であれば,当該建物の申請義務の適用はないということとなりますが,自治会館が課税対象建物又は地方税法第348条以外の規定により非課税建物となっている場合については,建物表題登記の申請義務が適用されることになりますので,その場合は,建物表題登記の申請を行うことを要します。   なお,建物表題登記の申請に当たっては,個人名義又は法人名義のいずれかで登記することが可能ですが,申請手続の詳細につきましては,千葉地方法務局にお尋ねください。
  平成30年3月30日
東京法務局民事行政部不動産登記部門 電話 03-5213-1328

自治会館の非課税と登記不要

全国大部分の任意団体としての自治会の自治会館の建物は取得時点でその申請をすることによって、固定資産税の免除を許されていますので、不動産登記法第47条第1項の規定にも拘わらず、不登法附則第9条によりその登記をしなくても良いことになっています。

  
  

自治会会則の全面改訂

   
町内自治会設立ハンドブック
   

千葉市では行政事業の多様化と予算逼迫の情況の中で町内自治会の協力なしでは住民サービスが非常に難しくなっています。そこで千葉市は町内自治会が未だに結成されていない地域に対して積極的に町内自治会立ち上げの働きかけをしています。 そのプロモションの為に作成された資料が『町内自治会設立ハンドブック』と『町内自治会活動ハンドブック』です。
そのハンドブックの冒頭に『町内自治会が会員相互の理解と協力により民主的に運営されるための会則は会員間で慎重に審議を重ねたうえで作成されなければなりません。このハンドブックの会則には標準的な作例で掲載しましたので、 参考にし、実際に作成する場合は地域の実情に応じたものを作成してください』と謳っています。要約しますと、このハンドブックに示されている会則はこれから新たに立ち上げる町内自治会の会則作成のためのサンプルに過ぎない もので、30年もの歴史がある町内自治会の会則に必ずしも相応しいものとは言えない代物です。

会則の全面改訂は必要だったか?

ある自治会で、上記の町内自治会設立ハンドブックを土台にして会則の全面改訂に踏み切りました。30年に亘って受け継がれた会則をリセットした理由はハッキリ判りませんが、この全面改定を主導したある幹部役員の発した 『会則改訂は、本来の目的ではなく単なる序章に過ぎません』という檄文と、『自治会館建物の不登記は法律違反である』信じている幹部役員の言動から推察すると、 どうも自治会の法人化を目指した準備工作ではないかと思われてなりません。後に、法人化のディメリットを指摘されて、法人化の目標を否定していましたが、それでは何のための全面改訂であるか理解に苦しむところです。 役員会での『町内会は任意団体のため登記が出来ない。・・・私が死んだら1,500万円(の定期預金)が貸与者である私の資産になってしまいます。』という会長の挨拶は明かに自治会の法人化を目指した会則の全面改訂の意図を示唆しています。
この会長は自治会を法人化しないと自治会の銀行口座は易々と会長の死後会長の身内に乗っ取られてしまうと信じておられるようですが、筆者が相談した弁護士によると、銀行口座は不動産と異なってそう易々と個人名義にされることはないとのこと。 因みに、自治会の銀行口座の名義は『〇〇自治会会長あすみ太郎』のようになっています。

   

自治会館改築用地をどうする?

手狭な自治会館を別の場所に建て替えて広い会館を建設したらという案が漠然と出ていますが、問題は土地探しです。漠然とした案の主導者は、現在の集会所から創造の杜公園北口に向かう右側の緑地を考えていたようですが、 果たしてその場所が借りられるでしょうか?


新しい自治会館の敷地に考えられていた緑地

    


創造の杜公園

筆者が千葉市の『緑公園緑地事務所』に問合わせてみましたら、件の緑地は創造の杜公園とは独立した公園とみなされている。その緑地の面積は500平米であり、その100分の2は10平米であるが、 既に防災倉庫として3.3平米借りているので、残り6.5平米では集会所を建てること不可能であるとのこと。(千葉市都市公園条例 第1条の5号)
更に、自治会館に対して社会福祉施設としての特例があるかもしれないというので、千葉市役所本庁の『千葉市都市局公園緑地部公園管理課』に問い合わせてみたところ、 自治会館の建設に関する特例はないので、件の公園緑地には自治会館を建てることは出来ないという回答を得ました。(土地公園法第4条1)

千葉市都市公園条例

第1条の5号
本市の設置に係る都市公園についての政令第6条第1項第4号に掲げる場合に関する法第4条第1項ただし書の条例で定める範囲は、同号に規定する建築物に限り、 当該都市公園の敷地面積の100分の2を限度として第1項各号に掲げる都市公園の区分に応じ、当該各号に定める割合を当該都市公園の敷地面積に乗じて得た面積を超えることができることとする。
都市公園法施行令(昭和三十一年政令第二百九十号)施行日:平成29年6月15日 第16条 占有に関する制限
六の二 第十二条第三項各号に掲げる社会福祉施設は、都市公園の広場又は公園施設である建築物内に設けること。この場合において、当該社会福祉施設を都市公園の広場内に設ける場合にあつては その敷地面積の合計は当該都市公園の広場の敷地面積の百分の三十を、当該社会福祉施設を公園施設である建築物内に設ける場合にあつてはその床面積の合計は当該建築物の延べ面積の百分の五十を、それぞれ超えないこと。  

   
土地公園法(公園施設の設置基準)

第四条の1
都市公園に公園施設として設けられる建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の建築面積(国立公園又は国定公園の施設たる建築物の建築面積を除く。 以下同じ。)の総計の当該都市公園の敷地面積に対する割合は、百分の二を参酌して当該都市公園を設置する地方公共団体の条例で定める割合(国の設置に係る都市公園にあつては、百分の二)を超えてはならない。ただし、 動物園を設ける場合その他政令で定める特別の場合においては、政令で定める範囲を参酌して当該都市公園を設置する地方公共団体の条例で定める範囲(国の設置に係る都市公園にあつては、政令で定める範囲)内でこれを超えることができる。 《改正》平23法105

新自治会館の土地はどうする?

上述のように当てにしていた土地は殆ど借りられる可能性がないと言わざるをえません。考えられることはこの近隣に借地を探すか、現在の位置に建て替えをするしかありません。 現実的にはこの近辺には借りられるような空き地はありませんので、若し建て替えをするとしたら、現在の位置に建て替えをするという方向で検討するしかないでしょう。