(1)ソフトウェア開発の歴史的流れの概要

(A) 手順指向(Procedure Oriented)の時代

 コンピュータがこの世で一般に使われ始めた1970年頃のプログラム言語はAssemblerとかCOBOLとかFORTRANといった専門家や学者が使うプログラミング言語が主体で、勿論その頃はパソコンなどはありませんでした。

 その頃のコンピュータによるデータ処理は人口統計や給与計算といったような大量のデータを一定の手順に従って高速で処理するといった性格のもので、プログラミング・システムの設計思想は手順指向(Procedure Oriented)或いは順次処理(Sequential Processing)と呼ばれています。
 
 ここでいう一定の手順に従った処理とは下のフローチャートで表されるような処理のことです。この処理は、朝の起床から出発までのある人の行動を一定の手順に沿って表したものです。

 その内に1990年代になってパソコンが一般に使われるようになって、特殊な専門家だけでなく一般の人々にもコンピューターが利用されるようになると、プログラム言語もBasicやC言語のような対話型のものが現れましたが、まだ手順指向の仕組みに留まっていました。

(B)オブジェクト指向(Object Oriented)の時代

 1990年代の後半以降になってインターネットが普及するに伴い、システム開発はこれまでのように手順指向順次処理の概念で捉えるには余りにも複雑になって来ました。第一、インターネットを通じて入ってくるデーターや刺激(トリガー)は全くランダムで、順次とか手順通りに処理する訳にはいきません。開発の対象となる社会のモデルも一層複雑になり、これまでと全く異なった概念のアプローチ手法の出現が迫られていました。

 この時代の趨勢の中で考え出されて来た手法がオブジェクト指向の開発概念であり、C++、
Visual Basic, Delphi、更にJavaといったオブジェクト指向のプログラム言語でした。

 現在では、上に挙げた代表的なオブジェクト指向言語ばかりでなく、殆ど全てのApplicationシステムはこのオブジェクト指向の概念に立脚して開発されています。 皆さんお馴染みの「ホームページ・ビルダー」も正に然りでありますし、表面的にはその気配が余り感じられないMicrosoftのWORDやEXCELですら基本的にはこの概念の土台の上に構築されていると云って過言ではないでしょう。

 従って、このオブジェクト指向の概念の概要を学ぶことによって、私たちの今後の勉強の理解をより奥行きの深いものにすることが出来るでしょうというのがこのレッスンの狙いです。